
この記事の要点
- ホストが客の席について継続して会話の相手をするホストクラブは、風俗営業1号の許可が要る。無許可営業の罰則は2025年6月28日から5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金(併科あり)に上がり、法人には3億円以下の罰金が科される
- 風俗営業は午前0時から午前6時まで営業できない(条例で定める地域・日を除く)。深夜酒類の届出の対象は接待をしない飲食店なので、届出を出しても午前0時以降にホストが席について接客することはできない
- 2025年改正で、料金と違う説明、客の好意につけ込んで注文させること、注文前にシャンパンを開けること(第18条の3)、威迫して支払わせることや売春等で払うよう求めること(第22条の2・罰則あり)が禁止された。売上や順位を示す広告も第16条の規制の対象と示されている
「ホストクラブを開きたい。まず何の許可を取ればいいのか」。開業の相談で最初に出てくる問いです。答えは風俗営業1号の許可ですが、それだけでは足りません。店の場所、内装、営業時間、働く人の確認にも決まりがあります。
2025年の風営法改正は、ホストクラブで客が売掛の名目で多額の債務を負わされた事案を背景にしています。改正で加わった決まりは、これから開く店にも初日からかかります。接待をする店の手続きの全体はラウンジ開業の許可一覧と同じ形なので、重なる説明は短くしてリンクで補います。
ホストが席について会話する店は、風俗営業1号の許可が必要になる
風営法第2条第1項第1号は、次の営業を風俗営業としています。
キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
風営法 第2条第1項第1号
接待は「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」です(同条第3項)。警察庁の解釈運用基準は、特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手になることを接待にあたるとしています。ホストが客の席について会話の相手をする営業は、これにあたります。警察庁の改正法の施行通達も「ホストクラブをはじめとする接待飲食営業」と書いています。
許可は営業所ごとに、所在地を管轄する公安委員会から受けます(法第3条第1項)。窓口は管轄の警察署です。許可を受けずに風俗営業を営むと、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方です(法第49条)。法人には3億円以下の罰金が科されます(法第57条)。
この罰則は、2025年6月28日に施行された改正で引き上げられました。改正前は2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金で、法人の罰金も200万円以下でした。許可が出る前のプレオープンで接客をすれば、この罰則の対象になりえます。開店日は、許可の見込みから逆算して決めてください。
午前0時以降は営業できず、深夜酒類の届出への切り替えもできない
風俗営業の店は、午前0時から午前6時までの深夜に営業できません(法第13条第1項)。例外は、都道府県の条例で定める地域と日に限って、条例で定める時まで営業できる場合です。延長が認められる地域の決まり方は風営法の営業時間にまとめています。
午前0時を過ぎたら、深夜酒類の届出に切り替えてホストが接客を続ける、という形はとれません。 深夜酒類の届出の対象になる酒類提供飲食店営業は、風俗営業1号などを除いた飲食店営業と定義されているからです(法第2条第13項第4号)。届出で営業する店は、接待をしない店です。届出の手順は深夜酒類提供飲食店営業の届出の手順にあります。
同じ営業所で、風俗営業が終わったあとに飲食店営業を続けること自体について、警察庁の解釈運用基準は厳しい条件を付けています。接待飲食等営業では、全ての客を帰らせ、接客従業者も客として残さずに帰らせ、会計を別にする場合に限って認めるとしています。店を開く前に、午前0時で営業を終えるのか、延長が認められる地域なのかを警察署で確認してください。
営業できる場所の制限と、客室の広さや照度などの構造基準
許可には、店の構造と場所の基準があります(法第4条第2項)。構造の基準は施行規則第7条に定めがあり、客室が複数なら1室16.5平方メートル以上(和風の客室は9.5平方メートル以上)、客室の内部が外から容易に見通せないこと、客室の内部に見通しを妨げる設備を置かないこと、照度が5ルクス以下にならないことなどです。
同じ第7条は、善良の風俗や清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾などを設けないことも求めています。ホストクラブでは、この項目が店内の装飾や掲示にかかわります。詳しくは後の見出しで扱います。
場所については、条例で定める地域内の営業所に許可は出ません(法第4条第2項第2号)。政令は、住居が多数集合している地域と、学校や病院など条例で定める施設の周辺(施設の敷地の周囲おおむね100メートルが限度)を、制限できる地域の枠としています(施行令第6条)。仕切りの高さや照明の測り方など、内装で気をつける点はラウンジ開業の許可一覧に書きました。物件の賃貸借契約で確かめることは店の物件を借りる前に確かめることにあります。
許可を受けられない人と管理者。2025年の改正で欠格事由が広がった
法第4条第1項は、許可を受けられない人を定めています。破産して復権していない人、一定の罪で刑を受けてから5年を経過しない人、風俗営業の許可を取り消されてから5年を経過しない人などです。法人は、役員にこれらの人がいれば許可を受けられません。
2025年の改正で、この欠格事由が広がりました。親会社など密接な関係にある法人が許可を取り消されてから5年を経過しない法人、警察の立入りのあと処分を逃れるように許可証を返納した人、暴力的不法行為などを行うおそれがある人に出資や取引を通じて事業を支配されている人が加わっています。この部分は2025年11月28日から施行されています。
店には、営業所ごとに管理者を1人選任します(法第24条第1項)。管理者は、従業者が法令を守って働くよう助言や指導をする役割です。未成年者や、欠格事由の一部にあたる人は管理者になれません(同条第2項)。
料金と違う説明や、客の好意につけ込む注文の求めは禁止された
改正で新しく置かれた第18条の3は、1号営業を営む風俗営業者に3つの行為を禁止しています。1つめは、表示している料金と違う説明や、客を誤認させる説明をすることです。2つめが、客の好意につけ込んで遊興や飲食をさせることです。
二 客が、接客従業者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該接客従業者も当該客に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、次に掲げる行為により当該客を困惑させ、それによつて遊興又は飲食をさせること。 イ 当該客が遊興又は飲食をしなければ当該接客従業者との関係が破綻することになる旨を告げること。 (後略)
風営法 第18条の3第2号
後略した「ロ」は、ホストが降格や配置転換などの不利益を避けるには客の飲食が欠かせない、と告げることです。警察庁の解釈運用基準は、いわゆる推し活として好意を抱く客への行為も、要件を満たせば違反になるとしています。
3つめは、客が注文する前に遊興や飲食を提供して困らせ、それによって飲食などをさせることです。基準は具体例を挙げています。
法第18条の3第3号中「遊興・・・の全部又は一部を提供すること」には、例えば、いわゆる「シャンパンコール」を行うこと、いわゆる「シャンパンタワー」を組み上げること、接客従業者が自ら飲酒するためにシャンパンを開栓すること等が該当し、同号中「飲食の全部又は一部を提供すること」には、例えば、客に飲酒させるためにシャンパンボトルを開栓すること、料理を提供すること等が該当する。
警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」(令和8年7月1日)第17の7(4)ア
第18条の3には直接の罰則はありません。違反すると、公安委員会の指示や、営業停止・許可取消しの処分の対象になります(法第25条・第26条)。第2号の中身と、店で決めておく接客のルールは色恋営業は何が禁止されたのかにまとめています。料金の案内と請求の手順は会計トラブルで店がしてはいけないことに整理しました。
威迫して払わせることや、売春などで払うよう求めることには罰則がある
同じ改正で置かれた第22条の2は、1号営業を営む者に2つの行為を禁止しています。注文や料金の支払いをさせる目的で客を威迫して困らせること。威迫や誘惑によって、料金の支払いのために売春や性風俗店での勤務などでお金を得るよう客に求めることです。
違反すると、6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方です(法第53条)。法人にも罰金が科されます(法第57条)。主語は「風俗営業者」ではなく「第二条第一項第一号の営業を営む者」です。警察庁の基準は、同じく「営む者」と書いている第22条について、無許可で営む者も対象になると説明しています。
警察庁の基準は、威迫の例に声を荒げることを挙げています。対象になる支払いには、売掛やツケ払い、ホストが立て替えた分の返済も含まれるとしています。売掛の扱いは客の売掛(ツケ)を店はどう扱うかで確認できます。
| 2025年改正で加わったこと | 条文 | 施行日 | 違反したとき |
|---|---|---|---|
| 料金と違う説明、好意につけ込んだ注文の求め、注文前の提供の禁止 | 第18条の3 | 2025年6月28日 | 指示、営業停止・許可取消し(第25条・第26条) |
| 威迫して注文・支払いをさせること、売春等で払うよう求めることの禁止 | 第22条の2 | 2025年6月28日 | 6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、併科あり(第53条) |
| 無許可営業などの罰則の引き上げ | 第49条・第57条 | 2025年6月28日 | 5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金 |
| 欠格事由の追加 | 第4条第1項 | 2025年11月28日 | 該当すると許可を受けられない |
売上や指名の順位を示す広告と店内のパネルは出さない
風俗営業者は、営業所周辺の清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告や宣伝をしてはなりません(法第16条)。条文そのものは改正で変わっていません。変わったのは運用です。
警察庁は2025年6月4日付けの通達で、接待飲食営業の広告のうち、接客従業者の営業成績を示す表示などを、この規制の違反にあたると示しました。例として「年間売上〇億円突破」「指名数No.1」、上位であることを推認させる「総支配人」「レジェンド」、「売上バトル」、「○○を推せ」などを挙げています。何なら書けるのかは「No.1」が使えなくなった店の広告で整理しました。
開業で気をつけたいのは、店内の掲示です。通達は、店内に置く広告物も施行規則第7条の構造・設備の基準に照らして扱うとしています。新規許可の申請時には、そうした広告物を店内に置かないよう指導するとしています。ランキングのパネルや売上を示す装飾を内装に組み込む前に、図面の段階で警察署に確認してください。
業務委託のホストも含めた従業者名簿と、年齢・国籍の確認
開店後も、働く人と客について守る義務があります。
| 義務 | 根拠 |
|---|---|
| 従業者名簿を営業所ごとに備える | 法第36条 |
| 客に接する業務に就かせる人の生年月日・国籍(外国人は在留資格など)を書類で確認し、記録を保存する | 法第36条の2 |
| 18歳未満に接待をさせない。午後10時から午前6時まで18歳未満を客に接する業務に就かせない | 法第22条第1項第3号・第4号 |
| 18歳未満を客として立ち入らせない。入口にその旨を表示する | 法第22条第1項第5号、第18条 |
| 20歳未満に酒類やたばこを提供しない | 法第22条第1項第6号 |
| 料金を営業所で客に見やすく表示する | 法第17条 |
ホストを業務委託で迎える店は多いはずです。警察庁の基準は、従業者名簿の記載は雇用契約のある労働者に限らないとしています。業務委託のホストも、名簿と生年月日・国籍の確認の対象として準備してください。一方で、労働基準法の労働時間や賃金の決まりが業務委託のホストにかかるかは、契約の実態で変わります。
名簿と本人確認の項目は体入も従業者名簿が必要に、外国籍の人の確認は外国籍のキャストやスタッフを雇う前にに書きました。客の年齢確認は未成年の客を入れないために、18歳未満を働かせない決まりは18歳未満と年齢確認で確認できます。
保健所の飲食店営業許可と、消防署・税務署への届出
風営法の許可とは別に、飲食物を出す店は保健所で飲食店営業許可を受けます。施設の基準や食品衛生責任者は水商売の店に必要な飲食店営業許可にまとめました。
建物の用途や収容人数によって、防火管理者の選任や消防の届出が要ります。内装工事の前に図面を持って消防署へ相談してください。手続きはキャバクラやスナックの防火管理者と消防の届出にあります。
税務署には、個人なら個人事業の開業・廃業等届出書、法人なら法人設立届出書を出します。給与を払う事務所を設けたら、1か月以内に給与支払事務所等の開設届出書を出します。スタッフを雇ったときの保険の手続きはスタッフを1人でも雇ったら必要な保険の手続きで確認できます。
今日できる確認
- 開店日を、風俗営業1号の許可が出る見込みの日から逆算して決めたか
- 店の所在地で午前0時以降の営業が認められるかを、警察署で確認したか
- 候補物件の住所と図面を持って、場所の制限と構造の基準を警察署に相談したか
- 内装の計画に、ホストの売上や順位を示すパネルや装飾が入っていないか
- 業務委託のホストも含めて、名簿と生年月日・国籍の確認を初日の勤務前にする段取りがあるか
出典
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索。第2条が定義、第3条が許可、第4条が許可の基準、第13条が営業時間、第16条が広告宣伝、第17条・第18条が表示、第18条の3・第22条・第22条の2が禁止行為、第24条が管理者、第36条・第36条の2が名簿と確認、第49条・第53条・第57条が罰則、附則(令和7年法律第45号)が施行期日)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(e-Gov法令検索。第6条が営業所の設置を制限する地域の基準)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索。第7条が構造及び設備の技術上の基準)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)(警察庁・令和8年7月1日・PDF。第2が接待の定義、第17の2が風俗営業終業後の営業、第17の5が広告宣伝、第17の7が第18条の3、第17の11が第22条の2、第35が従業者名簿と確認)
- 警察庁「悪質ホストクラブ対策について」(改正法の成立と、2025年11月28日までに全規定が施行されたこと。改正の概要PDF(罰則の引き上げ前後の数字、欠格事由の追加)へのリンク)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通達)(警察庁・令和7年6月6日・PDF。不許可事由の追加を除き2025年6月28日施行、ホストクラブをはじめとする接待飲食営業への指導監督)
- 接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて(通達)(警察庁・令和7年6月4日・PDF。営業成績を示す表示など規制違反にあたる類型、店内の広告物と新規許可時の指導)
- 国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」(開業届、法人設立届出書、給与支払事務所等の開設届出書の提出期限)
※2026年9月24日に上記資料を確認しました。自分の店の接客や営業時間、物件の場所と内装、広告の表現が基準に合うかは、営業の計画と図面を持って管轄の警察署か行政書士へ確認してください。




