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バーやスナックでお酒を持ち帰り用に売るには。酒類販売業免許が要る場面と申請の条件

常連に頼まれて、未開栓のボトルを1本売る。周年イベントで、店の名前を入れたお酒を物販に出す。どちらも店の中で飲ませるのとは別の扱いになり、酒税法の販売業免許が関わります。この記事では、免許が要る場面と要らない場面、店が免許を取るときに求められることを、酒税法と国税庁の資料で確認します。

編集部(水商売経営学)公開 2026年9月24日17分で読めます
宵のバーのカウンターで、未開栓のワインボトルを紙袋に入れる手元。奥に酒棚

この記事の要点

  • 酒場や料理店のように、酒を店の中で飲ませるだけの営業には、酒類の販売業免許は要らない(酒税法第9条第1項ただし書)。店で出している酒を、客の自宅などで飲むための持ち帰り用に売るには、酒類小売業免許が必要(国税庁Q&A)
  • 無免許で酒類の販売業をすると、1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金(酒税法第56条第1項第1号)。コロナ期の料飲店等期限付酒類小売業免許は令和3年3月31日で期限が来ており、続けるなら一般酒類小売業免許が要る
  • 飲食店が一般酒類小売業免許を受けるには、飲食用の酒と販売用の酒を、場所と帳簿で分けることが求められる。20歳未満への酒類の販売・提供で罰金刑を受けると、3年間は免許を与えない理由になる(酒税法第10条第7号の2)

閉店間際に、常連から「このボトル、家で飲みたいから1本売ってよ」と頼まれる。周年イベントで、店の名前を入れたお酒を物販に並べる。店で出している酒だから、そのまま売っても同じだと考えがちです。

酒税法は、店の中で飲ませる商売と、店の外で飲むために売る商売を分けています。後者には税務署長の免許が要り、無免許で売れば罰則があります。この記事では、どの売り方に免許が要るのか、店が免許を受けるときに何を求められるのかを、酒税法と国税庁の資料で確認します。

店内でグラスやボトルの酒を出すだけなら、酒類販売業免許は要らない

酒を売る商売には、酒税法第9条第1項の販売業免許が要ります。ただし書きで、酒場や料理店は対象から外されています。

酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業(以下「販売業」と総称する。)をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場(継続して販売業をする場所をいう。以下同じ。)ごとにその販売場の所在地(販売場を設けない場合には、住所地)の所轄税務署長の免許(以下「販売業免許」という。)を受けなければならない。ただし、(中略)酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない。

酒税法 第9条第1項

バーやスナックが、店内でグラスやボトルの酒を出すのは、この「酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業」です。販売業免許はいりません。店で酒を出すための手続きは別にあり、食品衛生法の許可は水商売の店に必要な飲食店営業許可に、深夜に酒を出す場合の届出は深夜酒類届出の手順にまとめました。

販売業免許は、販売場ごとに受けます。国税庁の手引は、本店で免許を受けていても、支店で酒類を売るなら支店の所在地の税務署長から別に免許を受ける必要があると説明しています。

持ち帰り用にお酒を売るなら、酒類小売業免許が必要

外れているのは、店の中で飲ませる部分だけです。店で出している酒を持ち帰り用に売る場合について、国税庁のQ&Aははっきり書いています。

酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする方(以下「料飲店等」といいます。)が、自らの料飲店等で提供している酒類を、来店客の自宅等での消費のための持ち帰り(テイクアウト)用に販売するためには、酒類小売業免許が必要です。

国税庁「お酒に関するQ&A【その他】」Q2

店で飲ませる営業と、持ち帰り用に売る営業は、酒税法の上では別の商売として扱われます。 国税庁の法令解釈通達も、酒場などが、店の外で飲まれることを予知して、酒類を店で消費者に継続して販売する場合は、販売業免許が必要だとしています。通達のいう「酒類の販売業」は酒類を継続的に販売することで、営利を目的とするかどうか、特定の人に売るかどうかは問いません。常連だけに売る場合も、利益を取らない場合も、それだけで対象から外れるわけではありません。

無免許で酒類の販売業をすると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(酒税法第56条第1項第1号)。免許を受けたあとも、税務署長が付けた条件(売れる酒の範囲や売り方)に違反すれば、同じく1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(同法第58条第1項第1号)。

キープボトルやイベント販売など、場面ごとの免許の要否

国税庁のQ&A、手引、通達で確認できた範囲を、場面ごとに並べます。

場面国税庁の資料で確認できたこと必要な免許
店内でグラスやボトルの酒を飲ませる酒場・料理店などは販売業免許の対象外(法第9条第1項ただし書)不要
店で出している酒を、未開栓のまま持ち帰り用に売る持ち帰り(テイクアウト)用の販売には酒類小売業免許が必要(Q&A)酒類小売業免許
キープボトルの残りを客が持ち帰る確認した資料には記載がない税務署に確認
イベント会場で、コップに注いでその場で出す販売業免許は必要ない(Q&A)不要
イベント会場で、未開封の缶や瓶を売るその場以外で飲まれることを予知して売るなら販売業免許が必要(Q&A)期限付酒類小売業免許など
ネットで2都道府県以上の消費者に売る通信販売酒類小売業免許の対象(Q&A・通達)通信販売酒類小売業免許
ネットで同じ都道府県内の消費者に売る一般酒類小売業免許の対象(Q&A・通達)一般酒類小売業免許

キープボトルの残りを持ち帰る場面は、今回確認した国税庁のQ&A、手引、通達のどれにも出てきませんでした。判断の材料になるのは、先の通達の「営業場以外の場所で飲用に供されることを予知して」継続して販売しているかどうか、という基準です。この記事では断定できないので、自分の店のやり方を説明して、所轄の税務署に確認してください。

イベントで未開封の酒を売る場合、博覧会場や即売会場などで臨時に販売場を設けるなら、税務署長は販売業免許に期限を付けられます(法第9条第2項)。ただ、国税庁のQ&Aによると、この期限付酒類小売業免許を受けるには、原則として申請者が酒類製造者か酒類販売業者であることが必要です。キャンプ場やスキー場などで固定の店舗を持つ人向けの例外を除けば、販売業免許をまだ持っていない店はこの要件を満たしません。

期限付の免許は、原則として販売場を開設する日の2週間前までに申請します。一定の要件を満たせば、開設の10日前までの届出で足ります。届出の要件には、届出者やその関係者が主催者として管理・運営していない会場であることも含まれているので、店が自分で主催する催しでは届出は使えません。

飲食店が一般酒類小売業免許を申請するときに満たす主な要件

税務署長が販売業免許を与えないことができる場合は、酒税法第10条に並んでいます。店の場所や営業の形に関わるのは、次の号です。

第七条第一項、第八条又は前条第一項の規定による酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの製造免許又は酒類の販売業免許の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、税務署長は、酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの製造免許又は酒類の販売業免許を与えないことができる。 (中略) 九 正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に製造場又は販売場を設けようとする場合 十 酒類の製造免許又は酒類の販売業免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合 十一 酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の製造免許又は酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合 (後略)

酒税法 第10条

国税庁の「一般酒類小売業免許申請の手引」は、これらの号を具体的な要件にしています。飲食店に関わる部分を表にします。

要件手引が求めていること
場所(第9号)申請する販売場が、酒場や料理店等と同一の場所でないこと。区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性などで、他の営業と明確に区分されていること
経営の基礎(第10号)国税・地方税を滞納していないこと、酒類の小売業を経営する十分な知識と能力があること、必要な資金・施設・設備があることなど
需給調整(第11号)申請者が、酒場、旅館、料理店等の酒類を取り扱う接客業者でないこと。ただし、国税局長が支障がないと認めた場合は免許を受けられる
人(第1号〜第8号)免許の取消処分や一定の罰金刑などから3年を経過していること、申請前2年以内に国税・地方税の滞納処分を受けていないことなど

バーやスナックにとって、最初に関わるのは第11号の欄です。手引は、接客業者でも国税局長が支障がないと認めれば免許を受けられるとし、その場合は飲食店で出す酒と酒販店で売る酒が、仕入先を含めて混ざらないようにする必要があると書いています。飲食店部分と酒販店部分を場所で分けるほか、飲用の酒と販売用の酒の仕入れ・売上・在庫の管理を分け、帳簿で確認できるようにすることです。

仕入先にも注意が要ります。国税庁が令和3年3月に出した案内は、一般酒類小売業免許で売る酒は、原則どおり酒類卸売業免許を受けている事業者から仕入れる必要があり、酒類小売業者からは仕入れられないとしています(酒類製造者からの仕入れは可能)。店で飲ませる分は、引き続き酒類小売業者から仕入れられるとも書いています。

申請書は、販売場の所在地を所轄する税務署に出します。手引によると、審査の標準処理期間は2か月で、書類の補正にかかった期間は含みません。免許を受けるときには、登録免許税が免許1件につき3万円かかります。個別の相談は、所轄の税務署を担当する酒類指導官が受けると手引は案内しています。担当の税務署は、国税庁の「酒税やお酒の免許についての相談窓口」のページで確認できます。

オリジナルのお酒をネット通販で全国に売れるか

店の名前を入れたお酒を、ネットで全国の客に売りたい。この場合は、通信販売酒類小売業免許の話になります。通達は「通信販売」を、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象に、インターネットやカタログで商品や価格を示し、郵便や電話などで申込みを受ける販売と定めています。

通信販売の免許は、売れる酒の範囲が限られています。通信販売の手引によると、国産の酒は、品目ごとの前会計年度の課税移出数量がすべて3,000キロリットル未満の製造者が造り、販売する酒か、地方の特産品などを原料に製造委託した一定の酒に限られます。輸入酒には品目や数量の制限はありません。オリジナルのお酒がこの範囲に入るかは、製造者が発行する証明書などで示し、申請書に添付します。

場所の要件もあります。通信販売の手引は、申請する販売場が酒場や料理店等と同一の場所でないことを求めています。また、通信販売の免許では、店頭での販売や、1つの都道府県の消費者だけを相手にした小売はできません。店頭での持ち帰り販売と通販の両方を考えているなら、どの免許をどう組み合わせるかを、売り方を具体的に示して税務署に確認してください。

コロナ期の期限付酒類小売業免許は、令和3年3月31日で期限が来た

新型コロナの時期に、国税庁は料飲店向けに、在庫の酒を持ち帰り用に売れる期限付の免許を出していました。国税庁のページによると、令和2年4月から付与していた料飲店等期限付酒類小売業免許は、令和3年3月31日で期限が到来しています。

国税庁は、引き続き酒類の小売をしたい事業者は一般酒類小売業免許を受ける必要があるとし、申請は販売場の所在地の税務署を担当する酒類指導官に相談するよう案内しています。令和3年3月の案内は、期限のあとに一般酒類小売業免許を受けずに酒類を販売すれば、罰則の対象になると注意していました。当時の免許で始めた持ち帰り販売をそのまま続けている店は、いまは免許のない状態で売っていることになります。

免許を取ったあとに求められる記帳や酒類販売管理者の選任

免許を受けて酒を売る側になると、酒税法と酒類業組合法の義務がかかります。手引に載っている主なものです。

義務内容根拠
記帳仕入れと販売の数量・価格・年月日などを、品目別に帳簿に書く。販売場ごとに備え付け、帳簿閉鎖後5年間保存する酒税法第46条、手引
販売数量等の報告毎年度(4月1日〜翌年3月31日)の品目別の販売数量と年度末の在庫数量を、翌年度の4月30日までに報告する手引
酒類販売管理者の選任販売場ごとに、販売業務を始めるときまでに、研修を受けた人から選ぶ。選任・解任は2週間以内に届け出る酒類業組合法第86条の9、手引
研修酒類販売管理者に、前回の受講から3年を超えない期間ごとに研修を受けさせる酒類業組合法第86条の9、手引
標識販売場ごとに、公衆の見やすい場所に、酒類販売管理者の氏名などを書いた標識を掲げる酒類業組合法第86条の9、手引

手引によると、酒類販売管理者を選任しなかった場合は50万円以下の罰金、選任の届出を怠った場合は10万円以下の過料です。夜間(午後11時から翌日午前5時)に酒類を売る場合は、管理者に代わる責任者を指名して配置し、夜間は成年者を置くよう求めています。夜に営業する店が持ち帰り販売をするなら、この点も関わります。

20歳未満への販売を防ぐための年齢確認と売場の表示

二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第1条第3項は、その業態上酒類を販売・供与する営業者が、20歳未満の者が飲むことを知って酒類を販売・供与することを禁止しています。第4項は、年齢の確認その他の必要な措置を講じるよう求めています。第3項に違反すると50万円以下の罰金で、従業者が業務として違反したときは、店の法人や個人にも罰金が科されます(第3条・第4条)。店内で出す場面の年齢確認は、未成年の客を入れないためににまとめました。

免許を考える店には、この違反がもう一つ効いてきます。酒税法第10条第7号の2は、この法律や、風営法の20歳未満への酒類提供の禁止などに違反して罰金刑を受けた人を、刑の執行を終わった日などから3年を経過するまで、免許を与えないことができる相手に挙げています。免許を受けたあとに当てはまれば、免許の取消しの理由になります(同法第14条第2号)。

売る側には、表示の決まりもあります。国税庁の「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」は、酒類小売販売場の酒の陳列場所に、「酒類の売場である」または「酒類の陳列場所である」旨と、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を、100ポイント以上の文字で表示するよう定めています。通信販売では、広告やカタログ、申込みの画面(年齢の記入欄を設けたうえで)、納品書に、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」などの表示が要ります。

酒の容器や包装にも、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨を表示するものとされています。もっぱら酒場や料理店等への引渡しに使うものなどは、表示を省略できます。手引によると、表示基準を守らないと指示・公表・命令を受けることがあり、命令に違反すれば50万円以下の罰金です。

今日できる確認

  • 未開栓の酒を持ち帰り用に売っていないか。売っているなら、その販売場の酒類小売業免許があるか
  • コロナの時期の期限付免許で始めた持ち帰り販売を、そのまま続けていないか
  • イベントで酒を出すとき、コップに注いでその場で出すのか、未開封のまま売るのかを決めているか
  • 通販でオリジナルのお酒を売る計画があるなら、その酒が通信販売で売れる範囲に入るかを製造者に確かめたか
  • キープボトルの持ち帰りなど判断のつかない売り方を、所轄の税務署の酒類指導官に確認したか

出典

※2026年9月24日に上記資料を確認しました。自分の店の売り方に販売業免許が要るか、どの免許を受けられるかは、販売場の所在地の税務署を担当する酒類指導官へ確認してください。酒税の額や申告は、税務署か税理士へ確認してください。

編集部(水商売経営学)

水商売経営学の編集部です。実際に店を回してきた人間と、業界の外から入った編集者で書いています。法律・税務の記事は公的資料を出典として明示します。制度の説明は出典を示して公開し、許可・届出の要否や条文の解釈など「うちの店の場合はどうか」に踏み込む記事は、行政書士・税理士の確認が取れるまで公開しません。取材した店の話は、聞いた範囲のことだけを書きます。個別の判断は店の状況によって変わるため、迷う表現は確認したうえで進めてください。

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